連載 がん薬物療法看護のWhat’s Trending! Past ☞ Current ☞ Future 【19】
新規に承認されたがん薬物療法薬in 2022 ~薬の特徴を知って必要な看護支援を考える~
菅野 かおり
1
1公益社団法人日本看護協会神戸研修センター
pp.601-608
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_601
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
毎年,新規に承認されたがん薬物療法薬は独立行政法人医薬品医療機器総合機構(pharmaceuticals and medical devices agency:PMDA)によって公表されている.がん薬物療法薬はここ数年,免疫チェックポイント阻害薬などの開発によって,承認薬剤の数が上昇傾向であった.しかし,2022年の新規がん薬物療法薬の承認は37品目(GCSF製剤をのぞく)と前年度(2021年)の48品目よりも減少していた.この背景として,新型コロナウイルス感染症治療薬やワクチンの承認数が大幅に増えたことが影響していると考えられる.日本では2020年以降は,新型コロナウイルス感染症パンデミックへの対応が最優先事項となっており,がん検診受診率の低下やがん治療の一時中止,あるいは治療内容を変更するなど,がん医療への影響は大きかった.
厚生労働省が公表している2021年度の死因順位別死亡者数の第1位は悪性新生物で,全死亡者に占める割合は26.5%(図1)と4分の1を占めている.1981年以降,悪性新生物による死亡率は一貫して上昇しており,新型コロナウイルス感染症パンデミック禍であっても死因別順位は第1位を維持している1).このような状況から,新型コロナウイルス感染症が収束してきたことも影響し,今後は例年通り多くのがん薬物療法薬が開発・承認されることが予想される.本稿では2022年度に承認されたがん薬物療法薬のリストと新規承認された薬剤の中から2剤について情報提供する.
© Nankodo Co., Ltd., 2023