連載 がん薬物療法看護のWhat’s Trending! Past ☞ Current ☞ Future 【7】
新規に承認されたがん薬物療法薬 in 2020 ~薬の特徴を知って必要な看護支援を考える~
菅野 かおり
1
1公益社団法人日本看護協会神戸研修センター
pp.359-365
発行日 2021年5月1日
Published Date 2021/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango26_359
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
がん薬物療法薬は1940年代から殺細胞性抗腫瘍薬を主流に開発が進められてきた.重要な効果を示す薬がある一方で,厳しい副作用の出現や治療効果が望めないがん種もあり,がんの研究は広く行われている.2000年以降にはがんの生物学的研究が進み,がんゲノムや発がんに関する因子,発がんのメカニズムなどがわかってきた.それらのデータをもとにがん薬物療法薬が開発されるようになり,現在では殺細胞性抗腫瘍薬だけでなく,各種の分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬などといった薬剤が数多く誕生している.新規抗腫瘍薬やレジメンの開発は,今まで効果が期待できなかったがん種にも治癒や生存期間の延長が期待でき,治療の選択肢が広がっている.また,がんゲノムの解読によって,患者に最適な治療を選出できる個別化医療が実現できるようになってきた.しかし,難治性や再発のがんに対してはまだまだ十分な治療効果は得られておらず,さらなる治療薬の開発に期待がかかるところである.
日本では,毎年30種類以上のがん薬物療法薬が新規に承認されており,新薬情報をつかむのも一苦労である.そこで,本稿では2020年に承認されたがん薬物療法薬のいくつかを紹介したい.
© Nankodo Co., Ltd., 2021