連載 がん薬物療法看護のWhat’s Trending! Past ☞ Current ☞ Future 【13】
新規に承認されたがん薬物療法薬 in 2021 ~薬の特徴を知って必要な看護支援を考える~
菅野 かおり
1
1公益社団法人日本看護協会神戸研修センター
pp.416-421
発行日 2022年5月1日
Published Date 2022/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango27_416
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はじめに
がんの研究は日進月歩で進化しており,がんの特徴や発がんのメカニズムが分子レベルでわかるようになってきた.また,がん遺伝子パネル検査が身近なものとなった今,がんに特異的な遺伝子変異が解明され,がん薬物療法薬開発の主流は分子標的治療薬となってきている.これらの薬剤は従来の抗がん薬では効果を示さなかったがん種に対して生存期間の延長などの効果をもたらしており,多くの患者が恩恵を受けている.一方で,肺がんや膵臓がん,胆管がん,尿路上皮がんなど,いまだに十分な効果が得られないがん種も多く,今も薬剤開発が進んでいる.
以前は諸外国とのドラッグ・ラグが問題視されていたが,国際共同治験の促進や治験・臨床研究ネットワーク体制の推進,独立行政法人医薬品医療機器総合機構(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency:PMDA)審査員の増員などの取り組みによって,欧米などとの差は少なくなってきた.日本では毎年20種類程度の新規がん薬物療法薬が承認されており,これらをすべて理解することは容易ではない.また,既存の薬剤に対する新効能や新用量などの承認もあり,それらを合わせると新たに約30種類のがん薬物療法薬が承認されている.がん薬物療法看護に携わる看護師には,これらの薬剤を希望する患者に対して安全で確実な投与管理を行うことが求められており,薬剤の特徴や副作用の出現率などをよく理解する必要があるが,新薬情報を理解するのも一苦労である.そこで,本稿では2021年度に承認されたがん薬物療法薬のリストと新規承認された薬剤のなかから2剤について詳しく情報提供する.
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