連載 がん薬物療法看護のWhat’s Trending! Past ☞ Current ☞ Future 【24】
「新規に承認されたがん薬物療法薬 in 2023」 ~薬の特徴を知って必要な看護支援を考える~
菅野 かおり
1
1公益社団法人日本看護協会神戸研修センター
pp.339-347
発行日 2024年5月1日
Published Date 2024/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango29_339
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はじめに
ここ数年この時期に情報提供している1年間に承認された新規薬剤のリストについて,今回は2023年度の報告をする.独立行政法人医薬品医療機器総合機構(pharmaceuticals and medical devices agency:PMDA)が毎年公表している新医薬品の承認品目一覧(新医薬品)のなかで,がん薬物療法薬は「抗悪性腫瘍用薬」としてリストアップされている.ここ数年,新規がん薬物療法薬の承認数は減少傾向にあり,2023年度は新有効成分含有医薬品・新剤形医療品が4剤のみであった.新効能や新用量などで承認されたものを含めても23品目(支持療法薬,ホルモン薬をのぞく)で,2021年度48品目,2022年度35品目と比べて大幅に減少している.しかし,がん薬物療法薬の新規承認だけが減少しているというわけではなく,全分野において新規薬剤承認は減少傾向にある.疾患領域別にみると,もっとも承認が多かったのは血液領域(再生不良性貧血,血小板減少症,先天性血友病,発作性夜間ヘモグロビン尿症など)と,ワクチン(インフルエンザ,新型コロナウイルス,肺炎球菌など)で,がん領域がこれに続いている.2023年度は報道で耳にした,肥満症治療薬や高コレステロール血症治療薬,円形脱毛症治療薬,アルツハイマー病治療薬などの承認が印象的であった.
本稿では,2023年度に承認されたがん薬物療法薬のリストと新規承認された薬剤のなかから,2剤について情報提供する.
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