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付帯研究5
Good Deathの規定因子に関する研究
升川 研人*
*東北大学大学院医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野
はじめに
「患者は望ましい死(good death)を迎えることができたのか?」――これは終末期看護・がん看護にとって大切な視点ではないだろうか1,2).患者の死や死の過程に対する支援を振り返るデスカンファレンスでも,望ましい死を迎えられたか否かは重要な評価指標であると考える.わが国では,望ましい死の達成度を評価する尺度としてGood Death Inventory(GDI)が開発された3).GDIは日本人を対象とした調査研究から明らかになった4,5),多くの人が重要だと考える10項目,人によって異なるが重要であると考えられる8側面から構成されている(表1).死別後にがん患者遺族からGDI各側面に対する評価を得て,その合計点を望ましい死の達成度としている.このGDIはわが国のみならず,中国や韓国など海外にも普及しつつある6,7).
臨床場面を想起すると,「夫は最期まで痛がっていたけど,最後に家族に会えたからそれだけで大満足です」のように,単一の側面が達成されただけでも望ましい死が達成されたと感じるケースも少なくない.患者やその家族が重要視している側面をとらえその希望を叶えることは,看護師にとって重要な姿勢である.しかし,患者が望ましい死が達成されたかを評価するうえで,重要であるとされた側面の達成度を評価するだけでよいのだろうか? それとも,GDIのような尺度を参考にして包括的に評価することが適しているのだろうか?
付帯研究13
がん患者の遺族のアドバンス・ケア・プランニングが他者との関係性や死生観に与える影響
菅原 佑菜*
*厚生会仙台厚生病院看護部/がん看護専門看護師
はじめに
アドバンス・ケア・プランニング(advance care planning,以下ACP)とは,将来の変化に備え,将来の医療およびケアについて,患者を主体に,その家族や近しい人,医療・ケアチームが,繰り返し話し合いを行い,患者の意思決定を支援するプロセスのことである1).ACPを行うことで,患者の望む終末期ケアの提供,よりよいQOLなどをもたらす2).ACPは家族や医療者などの重要他者を交えながら,患者の意思を形成し,実践していくが,ACPに参加した遺族の生きていく過程にどのような影響を及ぼしているのだろうか.
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