フロントライン2000 移植看護
臓器提供と日本人の死生観
梅本 充子
1
1愛知淑徳大学大学院コミュニケーション研究科
pp.336-341
発行日 2000年4月1日
Published Date 2000/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903446
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
はじめに
昨年2月,日本で初めて脳死段階からの臓器移植が行なわれ話題となった.これまで私たち日本人は,欧米人に比べ臓器提供には拒否的であると言われつづけてきた.しかし,臓器移植法案成立後4例の脳死からの臓器提供者が現われた.今後,私たちの臓器提供に対する意識は,どのように変化していくのであろうか.今日の欧米と同じように日常茶飯事のこととして受け止められるようになっていくのだろうか.提供をめぐって私たちは,自分の生をどう生き,死をどのように受け止めようとしているのか,自己決定をせまられることとなった.臓器提供に対する意識は,個人的要因とともに,その背後に私たちのもつ死生観が大きく影響している.この特性を理解することは,倫理的問題と同時に,移植医療の一端を担う看護においては特に重要なことに思われる.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.