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治療の全体像と薬物療法
慢性骨髄性白血病(CML)の治療
・慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia:CML)は,多能性造血幹細胞にフィラデルフィア染色体が形成され,BCR::ABL1チロシンキナーゼが恒常的に活性化することを特徴とする慢性白血病である.
・チロシンキナーゼ阻害薬(tyrosine kinase inhibitor:TKI)の登場により,予後が劇的に改善した.
・若年者には第2世代TKI,高齢者には第1世代TKIを使用する.
・有害事象はそれぞれのTKIにより異なる.
慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)の治療
・慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(chronic lymphocytic leukemia:CLL/small lymphocytic lymphoma:SLL)は,わが国では比較的まれな成熟B細胞性腫瘍であり,緩徐な経過で進行することが多い.
・大半の症例では無治療経過観察となるが,貧血,血小板減少,B症状*がある症例では治療適応となる.その場合の初回治療ではブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬(BTKI)を使用する.BTKIの適応がない,もしくは有害事象で使用できない場合はFCR療法を行う.
骨髄異形成症候群(MDS)の治療
・骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes:MDS)は,血球減少と形態学的異常,染色体異常を特徴とする症候群である.
・同種造血幹細胞移植が根治的治療となるが,高齢者に好発するため適応となることは少ない.
・IPSS-R (revised international prognostic scoring system)が4.5点以上のハイリスク症例や輸血依存症例はアザシチジン療法が適応となる1).
・IPSS-R 4.5点未満の低リスク症例は無治療経過観察となる場合が多い.
・5番染色体長腕欠失(del5q)は5q-症候群としてレナリドミドの適応となる.
・2024年5月,高リスクを除くMDSを対象として,貧血改善を目的に赤血球成熟促進薬であるルスパテルセプトが発売された.
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