連載 がん薬物療法看護のWhat’s Trending! Past ☞ Current ☞ Future 【26】
がん薬物療法の投与経路選出から投与までのプロセス ~CVポートの選択基準と投与管理の実際~
菅野 かおり
1
,
高瀬 たまき
2
1公益社団法人日本看護協会神戸研修センター
2北海道がんセンター 外来化学療法センター/がん化学療法看護認定看護師
pp.555-563
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango29_555
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はじめに
がん薬物療法は静脈からの投与がもっとも一般的であるが,薬の種類や剤形,レジメンによって投与経路が決定する.がん薬物療法が外来へ移行することに伴って,経口薬や皮下注射ができる抗がん薬などが増えてきているものの,現在でも多くの薬が経静脈投与されている.抗がん薬の静脈投与で懸念されることとして,血管外漏出を起こした場合に潰瘍や水疱形成などの皮膚障害が出現することや痛みなどの自覚症状の出現がある.また,多くの治療法は複数回の治療が計画されており,繰り返す血管穿刺による痛みや苦痛,血管の脆弱化によって穿刺が成功しないといった問題もある.現在は静脈へのアクセスデバイス(留置針やカテーテルなど)の種類も増えてきてニーズに応じて選択することが可能になっているが,感染症のリスクが高いことや手術室で留置しなければいけないといった欠点もある.がん薬物療法を受ける患者にとって最良の治療効果を得るためには,安全で確実な投与管理を行う必要があり,投与経路の選出は重要なカギとなる.各施設で投与経路の選択基準は異なっており,アセスメントの方法を知りたいという声も多い.そこで,本稿では国内外のガイドラインを参考に投与経路選出のためのアセスメント方法を考えることと,実際に抗がん薬投与経路選択基準をもっている施設の現状について紹介する.
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