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特集 抗凝固薬の新展開
新規抗凝固薬の薬力学的特徴
Characteristics of New Anticoagulants
鈴木 敦夫
1
,
小嶋 哲人
1
Atsuo Suzuki
1
,
Tetsuhito Kojima
1
1名古屋大学大学院医学系研究科医療技術学専攻病態解析学講座
1Department of Pathophysiological Laboratory Sciences, Nagoya University Graduate School of Medicine
pp.402-409
発行日 2013年5月15日
Published Date 2013/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102211
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はじめに
抗凝固薬と聞いてまず思い浮かべるものはワルファリンやヘパリンであろう.どちらも抗凝固薬として確立されたものであり,現在でも強力な抗凝固薬として血栓症の予防あるいは治療には欠かせない薬剤である.古来より人類は常に怪我と飢餓との戦いに晒されており,そのため出血に対する防御機構は十分な余力をもって備わっているものの,一方で過凝固や血栓症に対する制御機構は限られている.ワルファリンやヘパリンは,そうした過剰な血液凝固を抑止するために非常に広く永きに渡って使用されてきた.しかしながら,唯一の経口抗凝固薬であったワルファリンはその狭い治療域と,食物中ビタミンKや種々の薬剤による薬効阻害などにより投与量調節が困難となる場合がある(図1).また,注射薬であるヘパリンは半減期が短く頻回の皮下注もしくは持続点滴が必要であり,さらにヘパリン起因性血小板減少症(HIT)の発症が問題となる場合もある.このような抗凝固・抗血栓薬の問題を解消するため,21世紀に入りより優れた有効性ならびに安全性を求めた新規抗凝固薬が開発されている(図2).現在では既に国内での認可がおり臨床で使用されているものも多い.近年開発された抗凝固薬は,それぞれ標的となる分子を直接あるいは間接的に阻害することにより薬効を示す.本稿では,既存の抗凝固薬と新規抗凝固薬の薬力学的な特徴とその違いを解説する.
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