連載 がん看護実践者としての私を誇りに思う ~ゆうがや会のこぼれ話~ 【5】
人が備えもつレジリエンス ~がん薬物療法中のがん患者さんのケアにつなぐ~
遠藤 康恵
1
,
中村 正子
2
1岡山市立総合医療センター岡山市立市民病院/がん看護専門看護師,がん化学療法看護認定看護師
2京都看護大学
pp.333-338
発行日 2024年5月1日
Published Date 2024/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango29_333
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はじめに
がん患者さんの長期生存が可能となってきている現代において,がんと共生する患者さんやご家族への人生の選択に対する意思決定支援が,看護師の役割として重要となります.たとえば,がん告知による動揺や治療の副作用で心身共に苦痛が生じているなか,常に選択が迫られている患者さんが,積極的な治療を続けるのか否か,最期のときは病院で過ごすのか在宅で過ごすのかなど,選択を迫られることがあるかと思います.いずれの決定をするときにおいても,その人の選択として,苦悩や後悔が少しでも軽減できるような支援を実践したいと,私たちゆうがや会のメンバーは思っています.
しかし,患者さんのこころのあり方は,ご本人の意思によってのみ決定されるものなのです.そのようなときに,看護師が活用すべき1つの中範囲理論に「レジリエンス」があります.レジリエンスとは,ストレスフルな状況下にある人が,肯定的な感覚を高めることで心理的に回復できるという状態の特性を表した言葉です.
今回は,人が本来もっている「困難を乗り越える力」に働きかけ,がんになっても自分らしく生きていくこと,人生の選択に対する支援としてのレジリエンスについて考えていきたいと思います.
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