連載 がん患者の“食べる”に寄り添う ~食べることをあきらめない~ 【6】
化学療法中の食支援 ~がんサバイバーと考える食を楽しむための食支援~
花村 衣咲
1
,
本郷 涼子
1
,
吉田 恵理子
2
1長崎県立大学 看護栄養学部 栄養健康学科
2長崎県立大学 看護栄養学部 看護学科
pp.768-772
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_768
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はじめに
私たちにとって「食べる」ことは,生命維持に不可欠な行動であるだけでなく,幸福度やQOL (quality of life)と深く関連する1).化学療法に伴う味覚や嗅覚障害に対する明確な治療法や対症療法はいまだ確立されていない2).がん患者の多くは悪心や味覚障害などに伴う,食に関する困難を抱えながら日常生活を送っており,食に対する意欲や摂取量の低下は,患者の心理的苦痛となるだけでなく,治療効果や予後も左右する3).とくに外来化学療法の導入が拡充されている現状では4),食に関する困難を抱えながら治療と日常生活を両立するがん患者に対する「食支援」が求められる.
食支援では,栄養素など摂取量を充足させるための支援も重要となるが,今回は,「化学療法中であっても食を楽しむ」ことに焦点を当て,がんサバイバーの経験や事例ならびにがんサバイバーの経験を基に一緒に考えた食事のレシピについて紹介する.
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