特別寄稿
「事例研究」への現象学的アプローチ
榊原 哲也
1
Tetsuya SAKAKIBARA
1
1東京女子大学現代教養学部人文学科哲学専攻
pp.753-756
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_753
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
医療・看護の現場で近年,「事例研究」が注目されている.昨年には『看護研究』誌において特集も組まれた1).しかし,そもそも「事例研究」とは何をどうすることであり,そこでは何が起こっているのだろうか.本稿では,筆者が専門とする「現象学」という哲学の視点から,「事例研究」にアプローチしてみたい.
事例研究では一般に,まず研究する事例を選択し,その事例を記述して言語化し,それについて対話・議論を重ねつつ,ケアの意味を見出していく.そのため以下,①「事例を選ぶ」ということ,②「記述する」ということ,③「対話する」ということについて,現象学という哲学の視点から順に考察していく.そして最後に,「事例研究を行う」ということが,医療者にとってどのような意味をもつのかを明らかにしたい.
© Nankodo Co., Ltd., 2023