焦点 現象学的アプローチ
解説
研究方法論としての現象学的アプローチ
山本 恵一
1
1東京国際大学教養学部
pp.482-489
発行日 1990年12月15日
Published Date 1990/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900274
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研究方法論ということ
方法論(methodology)ということばは昨今,さまざまな方法(method)や手続き,技法といったものをめぐって,これを如何に遂行していくかという,方法の上に展開される,いわばhow to論の意味で用いられることが多いようである。けれども本来これは,方法の可能性,あるいは方法の哲学を意味することばで,単なる方法や手続きとは区別されるべきことばなのである。内田義彦は,こうした意味での方法論ということばを明示するために,次のような例を挙げている。
ある雑誌をどう編集するかという「どう」は方法ですが,その方法には,原稿を整理したり,校正をしたり,その他やっかいな実務をどうかたづけて雑誌を出すかというハゥ-トゥの面と,雑誌は雑誌でも,この雑誌は「どういう」雑誌でなきゃいかんかを問う面が含まれています。その双方がうまく結びついて始めて雑誌は一つの雑誌として生まれるわけてすね。実際の仕事は,時間からいえば恐らく大部分実務的なことでつぶされるでしょう。しかしそこにはまた雑誌の理念というものがあって,その理念が,こまかい仕事の進め方の一コマ一コマに微妙な所で,しかしある意味では決定的といってもいいくらい強力に働いて,雑誌の性格とか内容を決定している1)。(傍点は筆者)
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