連載 便秘エコーを習得してアセスメント力をアップ 【3】
病棟事例 ~医師編~
鳥崎 哲平
1
Teppei TORISAKI
1
1大腸肛門病センター高野病院 緩和ケア科
pp.737-740
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_737
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
事例1 硬便貯留患者へのエコー活用事例
患者プロフィール
89歳,女性.発病までADL (activities of daily living)は,ほぼ自立していたが,認知機能の低下あり.
患者の状況(経過)
発熱・食欲不振を契機に,肝門部胆管がんと診断された.胆管閉塞による胆管炎を認めたため,胆管ステントを留置したが,高齢であることなどから,それ以上の侵襲的治療は行わない方針となった.同時期から活動量が著明に低下し,なんとか自宅での生活を続けていたが,食事もほとんど摂取できない状態が続いていた.再度発熱したため前医に入院し,胆管炎再発と診断されて胆管ステントの交換を行った後,当院の緩和ケア病棟に転院となった.
転院時から倦怠感が強く寝たきりの状態だったが,認知症の影響もあってか,ケアや食事摂取も拒否することが多かった.もともと長年にわたって便秘がちで,前医入院中に撮影されたCT像でも,S状結腸から直腸にかけての硬便貯留が指摘されていた(図1).
© Nankodo Co., Ltd., 2023