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[コラム]看護研究への病棟医師の協力―自己評価法編
堀内 敏行
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1東京都保健医療公社豊島病院 内分泌代謝内科
pp.792
発行日 2011年8月10日
Published Date 2011/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102164
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看護研究を行なう看護師への医師の協力はどのように行なうべきか。看護研究への協力経験から述べてみたい。次に示す3点から協力可能と考えられる。①患者情報を共有して研究デザインに活かす,②看護側に対する治療的視点の補足,③外来での診療継続のために患者についてのカンファレンスで看護師側と医師側の問題点を抽出する,などが看護研究において医師が協力できることと考えられる。
実際に私の専門分野での看護研究発表があったのでその研究をもとに考えてみたい。われわれの病棟で行なった看護研究は,患者の糖尿病のセルフケア,すなわち患者の体重,血圧,運動,フットケアに対する意識が教育入院前後で改善しているかを自己評価法でみて検討したものである。本研究で医師側から協力できる点で重要なことは,患者情報の共有である。糖尿病患者のADL(独歩,車いす),家族背景,家庭環境同居者,食事の時間,食事をつくる人など),障害者手帳,介護保険や健康保険のタイプといった情報をお互いに知らなければ退院後の患者指導にも影響がでる。医師がいくら食事のカロリーを何キロカロリーと設定しても本人がつくる場合はいいが,家人につくってもらう場合はカロリー計算をできるように栄養指導を家人にも行なっておく必要があり,食事をつくる人がいない場合,宅配食かコンビニでの購買となる。退院時担当看護師と退院カンファレンスを行ない退院時の設定条件を患者が継続できるかについて詰めておく必要がある。運動についても同様である。脳梗塞患者が運動するときは,介護する人も必要となる。運動継続も見守りができるかどうかが重要なポイントとなる。患者背景の共有は絶対に行なわなければならない。
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