経口がん薬物療法×在宅での内服セルフケア支援

はじめに

　経口抗がん薬は，静脈内投与の抗がん薬同様に，誤って使用すると患者に深刻な害を及ぼす可能性があるにもかかわらず，静脈内投与の抗がん薬よりも，安全対策が講じられていない^1）．その理由には，経口抗がん薬は有害事象が少なく，曝露するリスクが低いなどの誤った認識があること，投薬治療は患者自身が自宅で行うため医療者とかかわる機会そのものが少ない環境にあることなどが看護上の課題^2）とされている．経口抗がん薬を服用する患者にとって，医療者からの推奨に同意し，服薬や食事療法，生活習慣の見直しを実践する際に必要なアドヒアランス^3）は，患者個人が備えもつセルフケア能力によっても大きく影響される．そのため本稿では，経口抗がん薬のアドヒアランスを促進するために必要な服薬支援とセルフケアについて述べる．