特集 がん化学療法看護 セルフケア支援のABC 前編
食事のセルフケア支援
飯野 京子
1
,
坂本 照美
2
1国立看護大学校
2国立がんセンター中央病院
pp.959-966
発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100795
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化学療法を受ける患者の場合,治療に伴う体のエネルギー消耗が激しいために,必要エネルギー量が増加する.にもかかわらず,化学療法により,食事の経口摂取や,消化吸収に関連する臓器や神経に障害が生じ,栄養状態の悪化をもたらす.さらに悪心・嘔吐,口内炎など「食事」に影響を与える副作用は,治療中の患者にもっとも苦痛を感じさせる1)とともに,体力の低下が外来通院を困難にさせる(表1).さらに,化学療法中の患者の体重減少は,治療中の感染症のリスクを高めるとともに,予後や治療効果を悪化させることも報告されている2,3).一方,ホルモン剤を併用しているがん患者には食欲増進による体重増加がみられ,補液や利尿剤の使用による電解質異常が生じるなど,がん化学療法における看護では,患者の治療の継続と治療効果を高めるために,食事に関する支援が重要となる.ここでは,主に体重減少に関連する食事の問題に関するケアについて解説していく.
化学療法を受ける患者の食事に関するセルフケア指導は,影響する要因が多岐にわたる.そのため,治療のスケジュール,抗がん剤の併用の種類,症状の程度など,治療のために生じる症状に加え,患者の食生活の把握,患者の不安や,ADLも含めた多岐にわたるアセスメントと,個別的なかかわりが必要である.
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