特集 がん化学療法看護 セルフケア支援のABC 前編
下痢のセルフケア支援
飯野 京子
1
,
坂本 照美
2
1国立看護大学校
2鉱区立願センター中央病院
pp.981-986
発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100798
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下痢は,がん化学療法の副作用の見逃してはならない消化器症状の1つである.下痢は,患者にとって苦痛であるだけでなく,長期化すると慢性的な食欲不振や胃腸の機能低下の一要因となって栄養状態を悪化させ,治療の継続を困難にするため,食事の工夫や,薬物療法による積極的なケアが重要となる.
がん化学療法による下痢には,薬物の作用による副交感神経の亢進が腸の蠕動を活発にして下痢を引き起こすもの(コリン作動性)と,腸粘膜障害に伴うものとがある.下痢をもたらす薬剤としては,イリノテカン,5-フルオウラシル(5-FU),メトトレキサート等であり,とくにイリノテカンでは注意が必要である.
患者へのセルフケア支援では,下痢の発症の可能性,出現の時期に関する説明を行なうとともに,症状出現時に患者自身が適切に薬物療法が行なえたり,食事の工夫ができるようになる等の指導が重要となる.
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