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2019年に始まった,がん看護専門看護師(以下OCNS)によるこのリレーエッセイも,5期目を迎えることになりました.この企画が始まった発端は,若手のOCNSの活動を言語化し,お互いの活動を知る機会を得ることであったそうです.この2年あまり,新型コロナウイルス感染症が流行するようになり,これまで通りのがん看護実践が思うように行えなかったり,研究会での活動や学会参加がむずかしかったりしました.また,自らのアイデンティティを見失いがちになったときにほかのOCNSに相談する機会に恵まれず,手探りで乗り切ったということもあったのではないでしょうか.
専門看護師制度の開始から27年目を迎え,現在登録されているOCNS数は980名になりました(2022年12月2日時点).OCNSをとりまくがん医療や看護実践に求められることも随分と変化しました.一例を挙げると,免疫チェックポイント阻害薬やがんゲノム医療の登場,緩和ケアにおける対象疾患の拡大です.このような変化の中で,OCNSの役割,期待の範囲,活躍の場は多様化しています.同じ組織で働き続けている場合は,これまでのCNS実践主体の活動形態から,管理職へのキャリアアップを求められるようになることも多いのではないかと思います.一方で,自身のワークライフバランスとの兼ね合い,子育てや介護問題など家庭内の役割変化があった場合,これまで通りの働き方がむずかしくなることもあります.
そこで,今年は資格取得後のキャリア年数が異なる,12人のOCNSの方に歩んできた「回想記」を書いていただくことにしました.OCNSの皆様には成長につながった『しくじり体験』と『モチベーションの維持につながったエピソード』をご紹介いただいています.キラキラした成功ヒストリーから得られるものも多いのですが,時には眩しすぎて自分の影が濃く感じてしまうこともあります.そこで,このリレーエッセイでは,自分だけではなく,みんな悩みながらがんばっているのだな,と感じられるような体験談をご紹介いただきたいと考えました.
社会ニーズや時代の変化に対応しながら,OCNSとしてキャリア開発を続けている皆さんの通ってきた道を知ることで,若手のOCNSの皆さんがこれからどのようなキャリアを重ねていくか考える一助となり,またOCNS以外の看護職の方々にも自分たちのキャリアと照らし合わせて考えられるような連載となることを願っています.
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