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連載にあたって
精神・心理ケアは,言うまでもなくがん医療の重要要素であり,「がん対策推進基本計画」を柱とする政策レベルから,患者に接する各医療者の実践レベルまで,さまざまな取り組みが行われている.
にもかかわらず,がん患者における精神・心理ケアのニーズは,いまだ十分に満たされているとはいいがたい.全国がん患者団体連合会の最近の調査によれば,「気持ちのつらさ」は,がんサバイバーの「困りごと」第1位,「重要ごと」の第3位を占めていた(全国がん患者団体連合会 サバイバーシップ委員会:全がん連サバイバーシップニーズ調査報告「私たちが考える“サバイバーシップ”」,2023).
精神・心理ケアは,すべての医療従事者が連携しながら,支持的なコミュニケーション,意思決定支援,精神・身体・社会的ニーズへの対応などを行い,必要に応じて精神科医・心理士・精神看護専門看護師などの専門家と協力して提供するものである.
日本サイコオンコロジー学会と日本がんサポーティブケア学会は協同で,「がん医療におけるこころのケアガイドライン」をシリーズで刊行してきた.2019年の「がん患者におけるせん妄ガイドライン」(最新版は2022年発刊)を皮切りに,「がん医療における患者-医療者間のコミュニケーションガイドライン」,「遺族ケアガイドライン」,「がん患者における気持ちのつらさガイドライン」が発刊されている.
各ガイドラインは,薬物療法や心理ケアはもちろんのこと,好ましい心理教育のありかたや多職種連携のモデルについても扱っている.ピアサポートなどの医療機関外のテーマも扱っている.さらに,エビデンスに基づいた「推奨」だけでなく,がん患者の精神・心理ケアにおける基本的な事項を含んだ「総論」も扱っている.
本誌の連載は,上述の4つのガイドラインについて,がん患者と家族のtrajectory(がん治療における旅路)に沿って,がん看護の視点から解説するものである.ガイドラインを読み解く手引きとして,あるいは,がん患者と家族に対する精神・心理ケアを理解する入り口として,現場の皆さまに役立つことを期待している.
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