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本連載では,がんの特徴・性質・関連用語・最近の話題などのなかで,思わず「なにそれ?」とツッコミを入れたくなるものを取り上げ,解説していきます.筆者は廣瀬と申しまして,大阪で病理医と大学教員をやっています.どうぞよろしくお願いいたします.
さて,本誌の読者(日常的に「がん」にかかわる看護師の皆様)にとっては,病理なんて正直縁遠いですよね.病理医と聞いても,普段どこにいるかも知らんし,たまにカンファレンスや会議で異彩なる存在感を発揮する「ヘンなせんせー」くらいにしか思われてないかもしれません.現場感覚からすると,看護師:検体届けましたよね?病理医:いや知らん,とか……,看護師:病理結果まだですか?って聞けって言われてますけど.病理医:まだなもんはまだやし,聞かんでもわかるやろ,……などという接点しかなく,愛されキャラからは対極にあるイメージかもしれません. そうは言っても,がんの診断や評価には常に病理がついてまわるのも事実です.場合によっては,学生時代にはいちおう病理をそれなりに勉強したつもりやねんけど,また勉強し直したいねんけどメンドくさいし,患者さんと小むずかしいがんの話をするときは「それわかってます」的な雰囲気をなるべく出して……という人ももしかしたらいるかもしれません.
この連載は,そんな皆さんが日常的に戦う相手であり,すなわち憎たらしい某巨●軍(注:筆者関西在住なため,ファンの方,堪忍してや)みたいな存在である「がん」を正しく知ることに加えて,皆さんの日常業務に「旨み」と「潤い」をお届けすることを目的とします.たとえば,「なにそれ? まぁ,こんな感じちゃう」的に使われてきたかもしれない関連用語が,ニヤッとするようなこだわりとともに使ってもらえるようになったら,あるいは「なにソレ!ややこしなー」と感じていた取っつきにくい話題が,「ああ,あのなんとか言う,アレやんか」みたいに少しだけハードルが下がったら,それでええやんと思っています.さらに言えば,うどん出汁のようなほんのりとした「旨み」を加え,意外にオモロいなぁという「潤い」の味付けができたら,難儀ながんの話も読んでくれはるんちゃうか……という心もちで,全6回シリーズをお届けする予定ですので,お付き合い下さい(オモロなかったらゴメンなぁ……).
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