特集 がん薬物療法の看護技術
第Ⅰ章 投与管理
髄注×安全なサポート
塚本 多恵子
1
1京都第二赤十字病院看護部・外来化学療法センター/がん看護専門看護師
pp.424-427
発行日 2023年6月15日
Published Date 2023/6/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_424
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はじめに
髄腔内注射(以下,髄注)は薬剤をくも膜下腔に注入することである.抗がん薬の多くは血液脳関門(BBB)を通過できないため,薬剤を直接脳脊髄液に注入することで抗腫瘍効果が期待でき,全身性の副作用が軽減されるメリットがある.適応は,中枢神経原発・続発性造血器腫瘍や中枢神経浸潤に対する予防などである.わが国での髄注の適応薬剤はメトトレキサート,シタラビンの2剤であり,有害事象軽減目的やリンパ系腫瘍の抗腫瘍効果を狙いステロイド投与も行われている1).
無菌空間である髄腔内に直接抗がん薬を投与する本治療は,侵襲を伴い,時に重篤な合併症をきたしうるため,医師により無菌的に行う必要がある.介助にあたる看護師も,髄注の手技や合併症,介助を行ううえでの注意点などを熟知しておく必要がある.
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