特集 “便秘”最新の治療とアセスメント ~ケア向上のためのエッセンス~
オピオイド誘発性便秘症 ~ナルデメジンを使いこなす~
武井 大輔
1
Daisuke TAKEI
1
1埼玉県立がんセンター薬剤部
pp.20-23
発行日 2023年1月1日
Published Date 2023/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_20
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はじめに
オピオイドはがん疼痛治療において重要な役割を担っている.しかしながら,オピオイド誘発性便秘症の有病率はがん患者において51~81%,非がん患者で41~57%であると報告されている1).オピオイド誘発性便秘症は悪心や眠気に比べ耐性がつかないため,服用中は常に生じる可能性がある.オピオイド誘発性便秘症の診断基準Rome Ⅳは表のとおりである(表1)2).さらに,オピオイド誘発性便秘症がある患者ではquality of life (QOL)の低下,経済的負担の増加,疼痛治療の妨げになると報告されている3).また,3人に1人の患者が便秘を理由にオピオイドの減量,中止を自ら行っていた4).このようにオピオイドは疼痛コントロールになくてはならない一方で,オピオイド誘発性便秘症という弊害をもたらしている.
わが国においても2017年にオピオイド誘発性便秘症治療薬であるナルデメジンが上市された.そのことにより,わが国のオピオイド誘発性便秘症治療も変遷を遂げた.
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