Japanese
English
特集 便秘を科学する
オピオイド誘発性便秘の診断と治療
The epidemiology, diagnosis and treatment of opioid-induced constipation
結束 貴臣
1,2,3
,
石原 洋
1,2,3
,
髙橋 宏太
1,2,3
,
中島 淳
3
Takaomi KESSOKU
1,2,3
,
Yo ISHIHARA
1,2,3
,
Kota TAKAHASHI
1,2,3
,
Atsushi NAKAJIMA
3
1国際医療福祉大学成田病院緩和医療科
2同医学部消化器内科学
3横浜市立大学大学院医学研究科肝胆膵消化器病学教室
キーワード:
オピオイド誘発性便秘(OIC)
,
便秘
,
末梢性μオピオイド受容体拮抗薬(PAMORA)
,
ナルデメジン(NAL)
Keyword:
オピオイド誘発性便秘(OIC)
,
便秘
,
末梢性μオピオイド受容体拮抗薬(PAMORA)
,
ナルデメジン(NAL)
pp.573-577
発行日 2024年5月25日
Published Date 2024/5/25
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289080573
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がん疼痛緩和の基本方針は,速やかな治療の開始,十分な副作用対策,患者が満足できる痛みからの解放である.がん患者のQOL(quality of life)の向上のためにはがんの痛みからの解放が必須である.がん患者の疼痛緩和に対してはオピオイドが使用されるが,オピオイドの三大副作用として便秘,嘔気,眠気があげられる.オピオイドによる便秘はオピオイド誘発性便秘(OIC)といわれ,OICはオピオイド治療開始後に,排便頻度の低下,排便困難症状(いきみ,残便感,便習慣に苦痛を感じる)を呈する.また,OICは鎮痛効果が現れる前に出現するため,鎮痛が得られない状況で便秘に苦しむことになると,副作用による不快な症状のためにオピオイドへの抵抗感が強くなり,アドヒアランスが悪くなることがあるため,オピオイドの投与にあたっては,必ず副作用対策を行うことが重要となる.OIC治療に対して,従来は大腸刺激性下剤や浸透圧下剤が選択されていたが,近年では末梢性μオピオイド受容体拮抗薬(PAMORA;ナルデメジン)が販売され,OICのメカニズムに沿った治療が可能となった.本稿では,OICの診断や治療に関して臨床上得た知見を紹介する.
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