特集 “便秘”最新の治療とアセスメント ~ケア向上のためのエッセンス~
便秘治療薬をどう選択する? ~どう選択し,どう使いこなすか?~
余宮 きのみ
1
Kinomi YOMIYA
1
1埼玉県立がんセンター緩和ケア科
pp.24-29
発行日 2023年1月1日
Published Date 2023/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_24
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はじめに
がん患者で排便マネジメントが不良になる原因には,便秘治療薬が「効かない」,または薬の「量が不足している」ことが挙げられる.つまり,排便マネジメントを成功させるには,そのときの患者の状態にあった便秘治療薬を「選択」し「投与量の調整」を継続していくことが必要なのである.医師が処方した便秘治療薬を単に使用するだけではうまくいかない.とくにがん患者では,治療内容や病状により排便状況は大きく変化する.便秘をきたす抗がん薬やオピオイド,抗うつ薬の開始,病状進行による運動量や食事量の減少,悪心・嘔吐により便秘は増悪するからである.また,痛みや不眠そのものも交感神経の興奮により便秘の原因になることも忘れてはならない.
一方,処方された薬を使用しても便秘が続いたり効きすぎて下痢になると,患者の満足は得られない.結果的に,患者は排便マネジメントへの自信や意欲を失ってしまう.そのため,体調に合わせて用量調整や薬剤変更を行う必要性について,あらかじめ患者に説明しておくことが排便マネジメントの秘訣といえる.
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