特集 スペシャリストが伝えたい消化器の症状マネジメント
Ⅱ.患者さんからこう言われたら? ~腹部編~
気持ちがわるい③ ~オピオイドによる便秘~
高野 純子
1
1藤沢湘南台病院看護部/がん看護専門看護師
pp.469-473
発行日 2022年6月15日
Published Date 2022/6/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango27_469
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
事例
Aさん,60代,女性.3年前に直腸がん(ステージⅣ),肝転移,腹腔内リンパ節転移と診断され,直腸がんに対する前方切除術後,肝転移に対するがん薬物療法を受け,外来フォロー中だった.2週間前に,肝転移部位の増大がみられ,がん薬物療法を実施するかどうかについてAさんと家族で検討することになった.ちょうどそのころより食欲不振,右季肋部痛が生じ,外来で定時薬としてすでに処方されていたアセトアミノフェン®錠1,600 mg/日に加え,頓用でオキノーム®散2.5 mgが処方されていた.本日,腹痛の増強がみられ,疼痛コントロール目的にて入院した.
入院当初は,悪心・嘔吐があり,内服が困難だった.悪心・嘔吐に対して11時にドンペリドン坐剤が投与され,いくぶん軽減した.悪心が軽減したため,11時45分にオキノーム®散2.5 mgを服用し,15分後には右季肋部痛は軽減した.右季肋部痛に対して,持続静脈内注射あるいは持続皮下注射が提案されたが,本人は拒否したため,フェンタニル®テープ0.84 mg/日が開始された.ほかに頓用として,アンペック®坐剤10 mg 2分の1個/回が処方された.
夜勤で夕方,Aさんの部屋へ訪室すると,セミファウラー位,側臥位で臥床しており,ガーグルベースンを口元に寄せていた.Aさんに声をかけると,「気持ちわるくて」と言っている.
© Nankodo Co., Ltd., 2022