連載 薬の知識
オピオイド誘発性便秘症治療薬 ナルデメジントシル酸塩(スインプロイク®)
樋口 雅樹
1
,
朴 成和
1
1国立がん研究センター中央病院消化管内科
キーワード:
オピオイド誘発性便秘症
,
μ受容体
,
オピオイド副作用
,
がん
,
SBM
Keyword:
オピオイド誘発性便秘症
,
μ受容体
,
オピオイド副作用
,
がん
,
SBM
pp.463-465
発行日 2018年3月20日
Published Date 2018/3/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000299
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WHO 方式がん疼痛治療法では,非オピオイドで効果のない場合に,オピオイド鎮痛薬を使用することが推奨される.しかし,オピオイド鎮痛薬にはさまざまな副作用があり,副作用が内服継続の障害になることが少なくない.なかでも便秘は必発であり,オピオイド誘発性便秘症(opioid‒induced constipation;OIC)は,40~80%に生じると報告されている1)~4).OIC は,オピオイド投与期間中は継続するため,患者のQOL に影響するだけではなく,疼痛治療へも影響する.がんあるいは非がん性疼痛患者にオピオイドを開始したところ,嘔気・便秘・眠気などの副作用のために,患者自身の判断でオピオイド鎮痛薬の定期的な内服を避けたり,自己中断することをしばしば経験する.がん患者520 名を対象とした横断研究では,このようなオピオイド鎮痛薬のコンプライアンスの低下は,① 93%でQOL に影響し,② 疼痛治療に影響した原因として,オピオイド減量が10%,不定期な内服が7.5%,オピオイドの中止が5.4%であり,③ これらの副作用への対応のためのオピオイド変更による疼痛悪化が86%にみられた5).
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