増刊号 実践に活かすアドバンス・ケア・プランニング
第Ⅴ章 事例を通してACPを考える
独居高齢者のACP支援の事例
蛯名 由加里
1
1北里大学病院看護部/老人看護専門看護師
pp.180-183
発行日 2023年2月15日
Published Date 2023/2/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_180
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事例
林さん(仮名),70歳代後半,男性.
既往歴:高血圧,喘息.近医で薬物療法を受けていたが,症状がないため治療を中断していた.
社会的背景:高校卒業後上京し,独身独居.長年,板金工場に勤めていたが,定年退職以降,地域社会との接点もなく,古いアパートに20年来住んでいた.妹さん夫婦が他県に在住しているが,疎遠関係が続いていた.
経過・状況
20XX年3月,風邪で近医を受診し風邪薬が処方された.その後も咳嗽が続いたため,胸部X線画像検査をしたところ異常陰影が見つかり,肺がんが疑われた.大学病院を受診するように言われていたが,ずっと受診していなかった.食事がとれず動けなくなって自ら救急車をよび,大学病院に救急搬送され,体動困難のため緊急入院となった.検査の結果,肺がんstage Ⅳで,余命半年と宣告された.現在できる治療はなくベストサポーティブケアの方針となり,療養先を検討することとなった.
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