視座
男性の独居高齢者
池内 昌彦
1
1高知大学医学部整形外科
pp.203
発行日 2015年3月25日
Published Date 2015/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200137
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地域住民を対象とした講演会などを行うと,参加者の多くは女性です.そのためか,話す内容も自然と女性を対象にした内容に偏っていることに気付きます.健康増進のための運動教室の参加者も多くは女性です.運動器疾患の代表である骨粗鬆症や変形性膝関節症が女性に多いからという面もあるでしょう.あるいは,女性ばかりのところに男性が入りにくい面もあるのでしょうか.しかし,日常診療においては,男性の虚弱高齢者は決して少ないわけではありません.なかでも男性の独居高齢者の治療は難しいことが多く,頭を悩ませます.
独居高齢者というと夫と死別した女性というイメージがありますが,今後は男性の独居高齢者が増加すると言われています.女性の生涯未婚率10.6%に対して男性は20.1%と約2倍です.つまり,男性は5人に1人が生涯独身という計算になります.生涯未婚化は今後ますます加速化し,2030年には男性の3人に1人が生涯独身になると予測されています.出生時の男女比では安定して男児のほうが多く出生しており,少なくとも結婚適齢期の人口では男性は女性よりも数が多いと言えます.男性の未婚者は女性に比べて非常に多いため,未婚男性が結婚できるチャンスはぐっと低くなります.平均寿命は今後さらに延伸すると予測されており,男性の独居高齢者問題は,今後ますます重要な課題になると思います.
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