特集 独居高齢者と健康
独居高齢者の食生活と栄養
山中 克己
1
1名古屋学芸大学管理栄養学部
pp.697-701
発行日 2012年9月15日
Published Date 2012/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102523
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はじめに
独居高齢者(65歳以上)は年々増加しており,2010年にはおおよそ501万8,000人になった.この数字は,65歳以上の人口2,929万3,000人の約17.1%にあたり,その割合も年々大きくなっている.また特徴の一つは,8割以上が女性である.
独居になると,当然その食生活に大きな影響を及ぼすことになる.
人間の食行動は「食べる行動」,「食事づくり,準備する行動」,「食を営む力を形成し,伝承する行動」からなると言う1).食事づくりは,献立作成,買い物,調理,配膳,後片付けと言われている2,3).一般的に男性は配偶者に食事づくりを依存しており,配偶者の死去や病気,寝たきりになると,一番困るのが食事づくりだと言われている.また独居女性は,家族と食べる楽しさや食事の評価を受けることがなくなることにより,食事づくりの意欲が薄れることも考えられる.
食行動の基本は「共食」であり,共食とは誰かと食行動を共にすることと定義されている1).家族と共に住んでいても,高齢者の中には一人で食べることを選択したり,選択せざるを得ない者も少なくはない.これは共食に対する「孤食」という概念になり,独居高齢者の食生活の問題は「孤食」の問題である.具体的に独居高齢者の栄養学的状況を見ると,以下のようである.
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