連載 知って安全! エビデンスに基づく抗がん薬の曝露対策と臨床実践 【8・最終回】
抗がん薬の投与管理における曝露対策
平井 和恵
1
HIRAI Kazue
1
1東京医科大学医学部看護学科
pp.623-627
発行日 2022年7月1日
Published Date 2022/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango27_623
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はじめに
2015年にがん薬物療法における曝露対策合同ガイドラインが発刊されて以降,看護師にとってもっともインパクトが大きかったのは,投与管理における曝露対策であろう.2019年に全国723施設の管理者を対象に行い310施設からの回答を得たガイドライン発刊前後調査によると,投与管理時のCSTD(closed system drug transfer device)の使用状況は,静脈内投与時は19.2%から43.9%に,腔内投与時は3.8%から13.9%に有意に増加していた1).その後,コロナ禍当初のPPE不足を契機にCSTDを導入できた施設も増えた.その一方で,導入にはコストを要するため組織の理解を得ることに今も難渋している施設は多い.
がん薬物療法における職業性曝露対策ガイドライン2019年版2)では,「HD静脈内投与時のルートにCSTDを使用することは推奨されるか」というCQに対し,強く推奨している.本稿では,このCQの根拠となったエビデンスとともに,臨床へのCSTD導入に活用すべき情報について考えていきたい.
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