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近年,がん治療に新たに免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が登場したことでがん治療戦略が大きく変わってきている.一方で,ICIに効果が得られない患者に対しては,新規抗がん薬が必要となっている.がん治療薬の開発は日進月歩に進められ,多くの薬剤が新規薬剤として市場に送り出されている.
がん看護を実施するにあたり,新規薬剤に対しては,各薬剤の薬剤情報を知ることは最低限必要な知識である.適切な患者(適応やStage)に適切な投与量を適切なスケジュールで投与することは,期待される効果を得るためには必須の医療提供である.また,これらの薬剤情報に加え,看護の視点からみた患者への介入が欠かせないと考える.がん薬物療法を受ける患者は,短期間の入院,または外来の通院が多く,病院から離れて過ごす時間が長いため,その中で起きてくる有害事象に自身で対応できる力が必要になってくる.そのためには一人ひとりの患者に合った生活上の注意点などを説明することが必須で,それは看護師の大切な役割である.
近年,医師,看護師以外の専門職種は多く存在し,多職種でチーム医療を実践している.そして,主治医だけでは対応がむずかしいような症状や問題が出た場合に,医師以外の職種に対応の依頼を促すなど,患者と専門の職種をつなぐことも看護師の大切な役割と考える.
本特集は,近年発売された新規薬剤に対して,薬剤師による薬剤情報,投与前の確認ポイント,治療方法の選択と根拠と臨床試験での副作用についてまとめ,そのあとに看護師による看護のポイント,アセスメントポイント,患者の生活上の注意点をまとめた.また,専門家につなぐ局面を看護の目線から紹介した.
がん看護の臨床現場で活躍される看護師の皆さまの看護実践の参考となり,安心・安全な医療の提供,ひいてはがん薬物療法中の患者のQOL向上につながれば幸いです.
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