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本特集では,治療期のがん看護に焦点を当て,最新の研究結果(文献)から看護実践の方向性を考えることを目指している.
がん医療は,発展によりめざましく変化し,がん患者が受けられる治療の選択肢は多様で,複雑でもある.新たな治療法が開発されるたびに患者,家族と同様に医療者も期待と関心が高まり,実践するための知識や技術を習得しようと努めるだろう.一方,従来行っている日常的な看護を改めて見直す機会は少ないかもしれない.過去の知識を基に,あるいは組織(院内等)のマニュアルを参考に,また,経験的に患者へ助言,指導することも少なからずあるのではないだろうか.
がん患者が安全,安楽にかつ効果的なセルフケアを習得,継続し,副作用予防,悪化予防や合併症の予防に貢献できるような根拠に基づくセルフケア支援,副作用への対処について,いま改めて見直してみたい.
今回は「骨転移」「口腔粘膜炎」「テレナーシング」の3つのテーマに焦点を当て,その研究結果から看護実践を検討した.
再発,進行がんの中でも骨転移のある患者は少なくない.骨転移を考慮するとどのくらい患者が動いてよいのか,どうやって介助したらよいのか迷うことはないだろうか? 安全,安楽なケアの方法,QOLが維持できるような支援,ケアの方法を検討する上でのエッセンスを学んでほしい.
口腔ケアは,さまざまながん治療を受ける患者の感染予防に不可欠で看護の基本ともいえる.日頃,患者の口腔内をどれだけ観察し,根拠をもってケアをしているだろうか? 現在実践しているケアを改めて見直したい.
3つ目にはテレナーシングをテーマとした.COVID-19の影響を受けオンライン診療が普及しているように,看護においてもテレナーシング,オンライン看護相談などを行う必要があるだろう.本特集ではオンラインを用いた看護相談の方法,スキルについて海外文献や他疾患のテレナーシングに関する文献から,看護実践のスキルや今後の展望について検討し,提案した.
以上のようなことを参考に,日常のケアを見直す契機とし,実践に還元されることを願っている.
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