特集2 がん患者・家族の質問に答えられる! 押さえておきたい“お金と制度”の話
特集2にあたって
川崎 由華
1
,
雑賀 祐子
2
1一般社団法人 がんライフアドバイザー協会
2和歌山県立医科大学附属病院がん相談支援センター
pp.321-321
発行日 2020年5月1日
Published Date 2020/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_321
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- 文献概要
がん患者が,告知された診断初期の混乱期から落ち着いた時点で心配になるのは,今後の治療や生活に関する経済的なことでしょう.医療機関の相談窓口においても,今後の治療にかかわる医療費についての相談が多くを占めるようになってきました.経済的な悩みが,患者の治療への前向きさや生きることへの思いを奪ってしまっていることも少なくありません.
経済的な悩みについては相談しにくい現実もあり,相談窓口に行けず一人で悩んでいる患者も多いのではないでしょうか.患者の身近にいる看護師が,患者との会話から経済的な悩みをキャッチし,適切な支援の場所へつなげていくことが重要になります.
しかし,看護師は患者が抱える経済面の悩みの解決策について学ぶ場は少なく,苦手意識をもってしまっていることから,患者からのお金の話は避けてしまうという声も聞かれます.今以上にがん患者の悩みに寄り添った支援ができるよう,“お金と制度”の知識ももっておく必要があるのではないでしょうか.
そこで今回,がん患者の経済的な悩みの解消も治療の一つとしてとらえ,社会的側面の切り口から支援をしているがんライフアドバイザー協会のメンバーに執筆いただきました.社会福祉士や看護師,公認心理師など多職種からなり,普段現場で相談を受けている経験から,押さえておきたい“お金と制度”を整理してお伝えします.
本特集が,がん患者のお金と制度の理解を深め,支援を考える一助となることを願っています.
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