リレーエッセイ こちらがん看護スペシャリスト奮闘中! ~新たな敵と対峙してがん医療を前進させる~ 【5】
合併症のリスクを避ける
感染の不安を取り除き,能動的なケアを実践
佐伯 香織
1
Kaori SAEKI
1
1国家公務員共済組合連合会横浜栄共済病院/がん看護専門看護師
pp.622-623
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango26_622
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自己紹介
歴史ある鎌倉市と横浜市をつなぐ街,横浜市栄区に私の勤める横浜栄共済病院があります.私は現在,地域との連携を軸とする患者サポートセンターのがん相談支援課で活動をし,がん看護外来とリンパ浮腫外来,さらに緩和ケア外来の一部を担って活動をしています.そして外来を中心に,放射線治療室や化学療法室で認定看護師と協働しながら有害事象のケアに尽力し,院内の口腔ケアチームにも参画しています.
私が,がん看護専門看護師(OCNS)を目指したのは,都内の拠点病院にある血液内科で造血幹細胞移植患者の看護をしていた時です.患者は,治療によりさまざまな合併症を抱えますが,易感染状態や移植片対宿主病などの口腔粘膜障害の痛みにより食事量が低下し,オピオイドを使用しながらも会話がむずかしく,栄養状態が悪化してしまうことで,QOLが著しく低下していました.そこで歯科衛生士と協働し,患者の口腔粘膜炎に対して予防的セルフケアの確立を目指しました.予防的な働きかけによって,患者が積極的にセルフケアを実施し,痛みをコントロールしながら食事を摂取できるという喜びに,看護の実感がもてるようになりました.そこで,さらに学びを深めたいと考え,OCNSの道に進むことを決断したのです.
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