リレーエッセイ こちらがん看護スペシャリスト奮闘中! ~新たな敵と対峙してがん医療を前進させる~ 【5】
合併症のリスクを避ける
今できることに向き合い,大切なものをあきらめない
坂元 敦子
1
Atsuko SAKAMOTO
1
1公益財団法人佐々木研究所附属杏雲堂病院/がん看護専門看護師
pp.624-625
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango26_624
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自己紹介
私は看護学校を卒業後すぐにがんの専門病院に就職しました.自分がなぜがん看護を選んだのかよくわからないまま,でも,まっすぐにそこに向かいました.思い起こすと,臨床実習で受け持ったがん患者さんの,心もとない表情やしぐさが,「私にできることはなにか」を考えるきっかけになり,以来,その問いをずっと持ち続けていたからだったと思います.
就職して数年後,私はよくストーマケアを担当しました.あるとき,がんの診断と治療方法を聞き,がっくりと肩を落としていた患者さんが,しだいにケア方法を習得し,自分なりの工夫を誇らしげに語りはじめ,どんどん素敵になっていく姿に出会いました.がんサバイバーとの出会いです.ひとは誰でも“力”をもっていること,その力を信じて支え続けるという看護があることを学んだ体験でした.
現在,私は都心にある約200床の病院に勤務しています.開院から140年,がんに関連した研究にも取り組みながら,人々の生活と病との戦いをすぐそばで支えてきた,そんな病院です.研究所,検診センター,急性期病棟,緩和ケア病棟,地域包括ケア病棟など多彩でありながら,こじんまりした規模を強みに,患者さん一人ひとりに合わせた医療を柔軟に提供するべく,取り組んでいます.
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