連載 がん薬物療法看護のWhat’s Trending! Past ☞ Current ☞ Future 【9】
がん薬物療法を受ける患者・家族が交流・情報交換する場としてのがんサロン運営 ~新型コロナウイルス感染症パンデミックによる影響と対策~
石崎 智子
1
,
後藤 真澄
2
,
菅野 かおり
3
1横浜市立市民病院看護部/がん化学療法看護認定看護師
2独立行政法人労働者健康安全機構中部労災病院入退院支援センター/がん化学療法看護認定看護師
3公益社団法人日本看護協会神戸研修センター
pp.645-649
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango26_645
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はじめに
菅野かおり
2020年初旬から世界的に猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって,私たちの日常生活は大きく変化し,第4波と言われる感染者数の激増は複数の地域で医療崩壊を招いた.通常診療が受けられないという状況は国民や既存症で通院している患者にとって非常に脅威となっている.がん患者をとりまく環境も例外ではない.たとえば,新型コロナウイルスの感染リスクをおそれ,がん検診や医療機関の受診を控える事例,新型コロナウイルス感染症の重症者に医療資源を集約するために予定している入院や手術を延期するといった事例も多く報告されている.
今回のテーマであるがんサロンは,第2期がん対策推進基本計画から積極的に取り組まれてきたがん相談支援センター業務の一つで,主にがん診療連携拠点病院で実施されている.がんに罹患し厳しい治療を受ける患者にとって,病院の受診や医療者との面談,がんサロンへの参加は不安や悩みを軽減するために重要な役割をもっていたが,現在では多くの施設でがんサロンを中止している.がん看護に携わる看護師は,可能な限り患者支援を継続したいと考えており,思考を凝らしながらがんサロンの再開を目指して協議している.そこで,今回は異なった方法でがんサロンを継続している施設の状況や課題を紹介したい.
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