連載 早期退院に取り組む・3
退院を阻む要因を取り除く支援
岡本 典子
1
1社会保険船橋中央病院
pp.263-267
発行日 1998年3月1日
Published Date 1998/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905550
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
若年者の急性疾患の医療需要は治療が終了すれば消滅するが,高齢者の慢性疾患では途切れることなく急性期,回復期,安定期,終末期と異なった医療が1人の中で変化しながら継続してゆく.少子高齢化はまぎれもない事実としてそのまっただ中にある.日本の医療界は歴史的な転換期にあり,厚生省は1996年度の保険医療費26兆4000億円のうち,医療費の増加は高齢者によって前年比6%の増加をみたと発表した.
この医療費削減の方策の1つとして「在院日数の短縮化」が注目されている.しかしそれに伴い医療現場には2つの大きな課題がある.その1つは,患者もその家族も退院を「拒んだり,応じられない」ケースも少なくない現実をどうするか.この中身を探らずして単に「在院日数の短縮」を追求することは患者もその家族にとってもきわめて不幸なことであるし,社会的入院を減らすことはできない.本稿では,その実態について当医療圏で調査したので,まずその一部を報告する.2つ目は,病院経済の基盤になる「診療報酬とその改正」にも敏感に反応しなければ病院経営は成り立たないことである.この2つをクリアする対策が医療・看護の質を上げ「在院日数の短縮化」につながるものと考える.当院では,その対策であり支援として本誌でも紹介した“外来プライマリナーシング”1)を打ち出したが,このシステムによって看護活動は拡大し入院時〜訪問看護へと継続的ケアが展開されている.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.