特集 がん薬物療法による有害反応への対応 ~こんな時どうしたらよいの?~
腫瘍崩壊症候群
宮本 拓
1
1奈良県立医科大学附属病院看護部放射線療法・核医学科腫瘍センター/がん化学療法看護認定看護師
pp.107-110
発行日 2020年2月15日
Published Date 2020/2/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_107
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事例
R-CHOP療法(リツキシマブ,シクロホスファミド,ドキソルビシン,ビンクリスチン,プレドニゾロン)初回治療時に,投与開始8時間後の患者に尿量減少,不整脈,尿酸値とカリウム値の上昇,脱力感,悪心が出現しました.
この事例のアセスメントと対応
この事例をどうアセスメントする?
この事例の場合,治療開始8時間後に症状が出現していることや疾患・血液データ・臨床症状から総合的に判断して腫瘍崩壊症候群(tumor lysis syndrome:TLS)が出現していると考える.その根拠は,尿酸値とカリウム値の上昇が認められ,それに加えて不整脈が併発しておりClinical TLSという状態となっていると考えるからである.
この事例にどう対応する?
まずは尿量減少が認められており,大量輸液を行うとともに利尿薬を用いて尿量を確保する.それに加えて尿酸値上昇に対しては尿酸分解酵素製剤の使用,カリウム値上昇に対しては血清カリウム値に応じた治療が必要となる.
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