特集 がん薬物療法による有害反応への対応 ~こんな時どうしたらよいの?~
インフュージョンリアクション
高木 美希
1
1神戸市立西神戸医療センター看護部外来/がん化学療法看護認定看護師
pp.103-106
発行日 2020年2月15日
Published Date 2020/2/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_103
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事例
初回セツキシマブ投与開始30分後に瘙痒感,喉の絞扼感,呼吸困難感が出現し,血圧低下が起こりました.
この事例のアセスメントと対応
この事例をどうアセスメントする?
症状が出現した時間が初回投与開始30分後でセツキシマブ投与中であること,また,瘙痒感などのアレルギー様症状が出現していることから,セツキシマブによるインフュージョンリアクションが起こっていると考える.血圧低下,呼吸困難感などのアナフィラキシー様症状があるため,Grade 3のインフュージョンリアクションであると判断する.
この事例にどう対応する?
発見者は,ただちにセツキシマブの投与を中止し,周囲にインフュージョンリアクションが起こっていることを知らせて,応援をよび,救急カートや酸素マスク,生体モニターの準備を依頼する.次に,バイタルサインの測定,全身状態の観察,患者の自覚症状の確認を行い,医師への報告を応援者に依頼する.この際,発見者は患者のそばを絶対に離れず,患者の観察を続ける.そして,患者や家族は突然の症状の出現や次々行われる処置を不安に思うため,声掛けをしながら対応する.
患者の観察と並行して,セツキシマブを投与している点滴ルートを除去し,細胞外液(薬剤を含まない輸液)を満たした点滴ルートに交換する.医師が到着した際には,症状が出現した時間,セツキシマブの積算投与量,投与開始からの経過時間,症状の出現部位,患者の訴え,バイタルサイン,対応した内容を報告し,前記内容を記録に残す.医師の指示によりアドレナリン,副腎皮質ホルモン,抗ヒスタミン薬を投与する.必要時は酸素,気管支拡張薬,静脈内輸液,昇圧薬の投与を行う.
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