連載 がん化学療法におけるナーシング・プロブレム【99】
PARP阻害薬の理解と看護支援
菅野 かおり
1
1公益社団法人日本看護協会神戸研修センター
pp.703-707
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango24_703
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はじめに
2016年に日本で初めて承認された,ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ阻害薬(PARP阻害薬;poly ADP-ribose polymerase Inhibitor)は,オラパリブ(リムパーザ®)で,卵巣がん,乳がんの治療薬として使用されている.海外では,前立腺がんや膵臓がんに対しても薬効を示すことが報告されており,米国ではオラパリブのほか,Rucaparib, Niraparib, Talazoparibの4剤が承認されている.
PARP阻害薬はBRCA1またはBRCA2の遺伝子変異陽性の乳がん・卵巣がんへの有効性が高い.しかし,PARP阻害薬を投与した多くの患者で,薬への耐性を示すことも明らかになってきている.耐性とは,薬物を長期投与した際に,投与開始時と同量を投与しても同様の効果が得られなくなる現象をいう.PARP阻害薬の獲得耐性の機序として,P糖タンパク質による細胞外への移送,53BP1遺伝子の変異による失活などが考えられている1).
本稿では,PARP阻害薬の特徴と適応となる疾患の理解,投与に関する看護支援について述べたい.
© Nankodo Co., Ltd., 2019