連載 Margaret Newmanの健康の理論に導かれたとき,あなたのがん看護実践はさらに開かれる ~がん患者・家族とのケアリングパートナーシップを体験しよう~ 最終回
ニューマン理論に導かれた対話のケアを組み込んだ化学療法看護の実践 ~苦悩しながら化学療法を継続しているがん患者・家族のケアプログラムの作成をめざして~
井本 俊子
1
,
加藤 円香
2
,
中川 典子
3
,
小野 美樹
3
,
青池 英子
3
Toshiko IMOTO
1
,
Madoka KATO
2
,
Noriko NAKAGAWA
3
,
Miki ONO
3
,
Eiko AOIKE
3
1関東中央病院看護部/がん看護専門看護師/皮膚・排泄ケア認定看護師
2関東中央病院看護部/緩和ケア認定看護師
3関東中央病院看護部
pp.689-693
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango24_689
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連載最終回の本稿では,NPO法人ニューマン理論・研究・実践研究会が主催する学習会(プラクシス6回コース)の取り組みから生まれた成果のひとつを紹介する.本学習会では,参加者のそれぞれが関心あるテーマに沿って,ニューマン理論に基づく実践や研究に取り組み,学び合っている.
私たちは,化学療法看護のなかでも,とくに,苦悩しながら延命目的の化学療法を継続している患者・家族のケアに関心をもった.現行の化学療法看護では,きわめて短縮化された入院期間や外来での治療ということもあって,正確な薬剤投与や副作用対策に重点が置かれている.私たちは患者の思いを十分に聴く機会をもてず,苦悩しながら化学療法を受けている患者のケアに苦慮していた.そのため,ニューマン理論に導かれた対話のケアを化学療法看護の中に組み込みたいと願うようになった.そうすれば患者は自分の病気を含んだ健康体験を意味付けし,どのように生きるか自分なりの思いを見つけていき,その過程を看護師はともに歩んでいく1)ことができるだろうと考えた.
化学療法のケアに関する先行研究を見ても,このような取り組みは見あたらかったので,今回は初めての試みとして,対話のケアを組み入れた化学療法看護を実践し,今後,苦悩しながら化学療法を継続しているがん患者・家族のケアプログラムを作成していく上での方向性を掴むことをめざして取り組んだ(対話については,『がん看護』23巻6号,7号を参照).
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