Japanese
English
特集 遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)の必修知識――最新の研究成果を礎に,HBOC診療を次のステージへ
PARP阻害薬up to date
PARP inhibitors up to date
村井 純子
1
Junko MURAI
1
1愛媛大学プロテオサイエンスセンター細胞増殖・腫瘍制御部門
キーワード:
BRCA変異
,
BRCAness
,
HR-deficient(HRD)スコア
,
PARP阻害薬
,
PARP-trapping
Keyword:
BRCA変異
,
BRCAness
,
HR-deficient(HRD)スコア
,
PARP阻害薬
,
PARP-trapping
pp.460-464
発行日 2023年2月11日
Published Date 2023/2/11
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28406460
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
PARP阻害薬はBRCA1またはBRCA2の両アレル変異を持つ卵巣癌の治療薬として,わが国では2018年から保険適用となった.その後,PARP阻害薬の適用はBRCA変異を有する乳癌,前立腺癌,膵癌にも拡大されている.BRCA変異を持つ細胞では,PARP阻害薬が誘導するDNA二重鎖切断を相同組換え(HR)によって修復できないことが抗腫瘍効果の要因と考えられているが,最近の研究では,BRCA変異によって複製フォークの不安定化や一重鎖DNAギャップの蓄積が起こることも抗腫瘍効果の要因であると示されている.逆に,それらの機能回復はPARP阻害薬の耐性獲得につながる.本稿ではこの話題に加え,BRCA変異は検出されないがHR機能を喪失した状態であるBRCAnessとPARP阻害薬感受性について,さらにPARP阻害薬の抗腫瘍効果であるPARP-trappingを解除する因子など,PARP阻害薬の最近の話題について解説する.
Copyright © 2023 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.