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肝癌診療ガイドラインは,肝癌に特有の臨床状況に応じ診療を支援することを目的とし,第1版が2005年に発刊された.約4年ごとに改訂を重ね,2021年に第5版が刊行された.今回の改訂は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック下での作業となり,全22回の会議のうち19回はウェブ開催で行われた.肝癌診療ガイドライン第5版改訂委員会は委員長・委員27名,専門委員22名,実務協力者23名の計72名で構成された.今回の改訂の特徴として,腫瘍内科医が委員に新たに加わった点があげられる.第5版のクリニカルクエスチョン(CQ)は計52件であった.そのうち,改訂ありが6件,新設が5件,改訂なしまたは微修正が41件であった.今回の改訂ではいくつかの大幅な変更がなされた.一つ目は薬物療法に関する項目である.第4版刊行時(2017年10月)には,sorafenib tosilate,regorafenib hydrateの2剤しか保険収載されていなかった.しかしながら,今回の改訂までに一次治療,二次治療でそれぞれ3レジメンずつ,計6レジメンが保険収載されている.このような現状をふまえ,新たに「肝細胞癌薬物療法のアルゴリズム」が作成された.臨床支援として有用である治療アルゴリズムに関する記載の注意点として,推奨治療に優先順位をつけ,第2位までをアルゴリズムに提示することとされた.腫瘍数3個以下,腫瘍径3 cm以内の条件での治療は,これまで①切除,②焼灼法の順に推奨されていたが,本邦からの最新のエビデンスに基づき,今回の改訂から切除・焼灼法ともに同等に推奨されると記載された.本稿のほか,後続の項をお読みいただき,原発性肝癌の診療ガイドラインについて理解を深めていただければ幸いである.
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