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特集 術前・術中イメージングの最先端
II. 各論
2.術中イメージング
-5)蛍光胆道造影法発展の歴史と蛍光イメージ改善への工夫
Development of fluorescence cholangiography
河口 義邦
1
,
松村 優
1
,
石沢 武彰
1
,
長谷川 潔
1
Y. Kawaguchi
1
,
M. Matsumura
1
,
T. Ishizawa
1
,
K. Hasegawa
1
1東京大学肝胆膵外科,人工臓器・移植外科
キーワード:
インドシアニングリーン
,
蛍光イメージング
,
胆道造影
Keyword:
インドシアニングリーン
,
蛍光イメージング
,
胆道造影
pp.1150-1155
発行日 2018年10月1日
Published Date 2018/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka80_1150
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インドシアニングリーン(ICG)を蛍光源として用いた蛍光イメージングの肝胆道手術・肝移植への臨床応用は,2006年から報告がみられる.その後肝腫瘍の同定,胆道造影,血管再建後の開存度評価,門脈領域の同定と解剖学的切除への応用,肝切除後・肝移植後の肝臓への血液還流量の評価,肝静脈領域の同定と手術中のナビゲーションとしての有用性が幅広く報告されている.蛍光胆道造影としての有用性が認知されてきたのは2009年ごろからであり,それから約10年経過した現在では世界中から本法の有用性が報告され,数社から開腹・腹腔鏡用ともに赤外観察カメラが発売されるにいたっている.蛍光胆道造影の際にもっとも汎用されるICGの投与方法は手術室でのICG静脈注射である(およそ観察の30~60分前投与).ICG静脈注射による胆道造影は簡便な反面,肝臓など背景組織の蛍光により胆管の蛍光が目立ちづらいという問題点があった.同法による問題点を改善する工夫として,ICGを手術当日ではなく前日に静脈注射する方法は有用である.またドレナージ目的にあらかじめチューブが挿入されている場合には静脈注射ではなく,ICGを胆道に注入することで背景の蛍光を抑えることが可能となり胆管の蛍光を認識しやすくなる.従来の白黒表示による赤外観察カメラのみでなく,カラー画像の背景に蛍光を重畳表示することが可能な機器のラインナップも増えてきており,今後も蛍光イメージングによるナビゲーションが手術中の問題点を解決する一つの手段として発展していくことが期待される.
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