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肝細胞癌に対して,肝切除とラジオ波焼灼法(RFA)に代表される経皮的焼灼治療のどちらが有効な治療であるかに関しては,臨床的な課題であった.本課題に答えるべくわれわれのグループは,3 cm以内3個以下の肝細胞癌に対し肝切除とRFAの成績を比べるランダム化比較試験(SURF trial-RCT)を遂行している.2018年8月31日に患者最終登録から3年が経過し,無再発生存期間に関する報告を2019年のAmerican Society of Clinical Oncology(ASCO) Annual Meetingで行った.最終的に308人が登録され,ランダム化と不適格例の除外を経て,150人の手術群,151人のRFA群の比較を行った.両群間の背景因子に有意差を認めなった.手術群,RFA群ともに90%が単発(p=0.98)であり,腫瘍径の中央値は手術群,RFA群ともに1.8 cmであった(p=0.89).Follow-up期間の中央値,5.0年での無再発生存期間中央値(95%信頼区間)は,手術群で3.0(2.3~3.9)年,RFA群で2.8(2.2~3.8)年と有意差を認めなかった(p=0.79).両群において,治療後の死亡を認めなかった.SURF trial適格症例のうちランダム化の同意が得られなかった対象の観察研究SURF trial-Cohortに関する報告を,2020年のASCO Annual Meetingで行った.同研究では740人(手術群371人,RFA群369人)を解析対象とした.SURF trial-RCTと異なり背景因子に差を認め,Inverse probability of treatment weighing analysisによる背景因子調整後の無再発生存期間中央値(95%信頼区間)は,手術群で3.8(3.0~4.6)年,RFA群で3.4(2.6~4.0)年と同様に有意差を認めなかった(ハザード比0.89,95%信頼区間0.72~1.10,p=0.89).2020年8月31日をもって登録終了日から5年目となり,全生存の最終報告を2021年度中に行う予定である.
© Nankodo Co., Ltd., 2020