診療controversy medical decision makingのために 初発肝細胞癌の治療
ラジオ波焼灼術(RFA)の立場から
椎名 秀一朗
1
,
建石 良介
,
小池 和彦
1東京大学 消化器内科
キーワード:
Ethanol
,
肝細胞癌
,
肝切除
,
腫瘍再発
,
超音波診断
,
生存率
,
治療成績
,
ランダム化比較試験
,
経皮的エタノール注入療法
,
ラジオ波焼灼術
Keyword:
Ethanol
,
Hepatectomy
,
Carcinoma, Hepatocellular
,
Neoplasm Recurrence, Local
,
Ultrasonography
,
Survival Rate
,
Randomized Controlled Trials as Topic
,
Treatment Outcome
pp.342-346
発行日 2011年8月1日
Published Date 2011/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2011312153
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肝細胞癌では以前から、経皮的局所療法と肝切除といずれが優れているか議論がなされてきた。経皮的エタノール注入療法(PEIT)との比較では、肝切除が優れているといわれたが、根拠となった全国データをみると2病変、3病変ではほとんどの場合、両治療間に差がない。ランダム化比較試験でもPEITと肝切除とで生存率の差は認められない。現在、PEITは経皮的ラジオ波焼灼術(RFA)に置き換わった。全国データでは、RFA 9,643例の生存率は1年95.0%、3年76.7%、5年56.3%、7年39.3%であり、肝切除25,066例では1年88.2%、3年69.5%、5年54.2%、10年29.0%である。ランダム化比較試験でも両治療間に差は認められない。実際の診療ではRFAで治療を受ける患者が増加している。RFAで局所的根治、長期生存が可能なことは、10年間の成績から明らかである。新技術の導入により、RFAの成績はさらに向上するだろう。
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