Japanese
English
特集 消化器疾患に対する機能温存・再建手術
II. 下部消化管領域
7. 肛門機能温存にはたすtaTMEの意義
The significance of transanal approach first in phincter preserving resection for low rectal cancer
牛込 充則
1
,
船橋 公彦
1
,
甲田 貴丸
1
,
金子 奉暁
1
,
鏡 哲
1
,
長嶋 康雄
1
,
三浦 康之
1
,
吉田 公彦
1
,
小池 淳一
1
M. Ushigome
1
,
K. Funahashi
1
,
T. Koda
1
,
T. Kaneko
1
,
S. Kagami
1
,
Y. Nagashima
1
,
Y. Miura
1
,
K. Yoshida
1
,
J. Koike
1
1東邦大学医療センター大森病院消化器センター外科
キーワード:
taTME
,
肛門機能温存
,
直腸癌
Keyword:
taTME
,
肛門機能温存
,
直腸癌
pp.487-493
発行日 2019年4月25日
Published Date 2019/4/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka81_487
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経肛門的直腸間膜全切除術(transanal total mesorectal excision:taTME)1~3)は,経肛門的にアプローチして直腸間膜全切除術(total mesorectal excision:TME)4,5)を完遂する術式で,ここ最近欧米諸国で直腸癌,特に中部・下部直腸癌に対する新たなアプローチとして注目されている.直腸癌手術においては,局所再発の防止と予後の改善からTMEが標準術式となっているが,大腸癌手術において主流となっている腹腔鏡下手術では,一部の中部・下部直腸癌,特に肛門管近傍の直腸病変においては,従来の腹腔側からのアプローチでは,骨盤深部の剝離が視野の不良や鉗子の可動制限などに阻まれてしばしば困難となる.特に狭骨盤や高body mass index(BMI),骨盤腔を占めるbulkyな腫瘍,前立腺肥大症などの患者ではTMEを腹腔鏡下に完遂することは困難と考えられ,経肛門的によるアプローチが安全で確実なTMEを完遂できうる方法として期待されている.また,器械吻合の進歩は肛門温存に大きく貢献してきたが,腫瘍の位置が肛門近傍になるにつれて腹腔内からの自動縫合器の使用にも限界があることは,日々の手術においてもしばしば経験されることで,このような病変に対する経肛門的操作を先行させて直腸の切離・剝離を行う本術式は有用である.
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