Japanese
English
バイオ時代におけるリウマチ性疾患の診療 Ⅳ.手術的治療
4.周術期合併症対策
関節リウマチに対する整形外科手術における周術期ヤヌスキナーゼ阻害薬の休薬
Perioperative discontinuation of Janus kinase inhibitor in patients with rheumatoid arthritis who underwent orthopedic surgery
佐原 輝
1
,
稲葉 裕
1
,
針金 健吾
2
,
持田 勇一
2
,
石井 克志
3
K. Sahara
1
,
Y. Inaba
1
,
K. Harigane
2
,
Y. Mochida
2
,
K. Ishii
3
1横浜市立大学整形外科
2横浜市立大学附属市民総合医療センターリウマチ膠原病センター
3国家公務員共済組合連合会平塚共済病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Yokohama City University, Yokohama
キーワード:
RA
,
TNF inhibitor
,
Janus kinase inhibitor
,
perioperative mamagement
,
flares
Keyword:
RA
,
TNF inhibitor
,
Janus kinase inhibitor
,
perioperative mamagement
,
flares
pp.154-156
発行日 2023年10月25日
Published Date 2023/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei84_154
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は じ め に
関節リウマチ(RA)はメトトレキサートをはじめ,生物学的製剤,ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬の普及に伴い寛解率が上昇した.関節の変形や機能障害が残存する症例に対しては整形外科手術が有効であるとされ,日本リウマチ学会(JCR)の『関節リウマチ診療ガイドライン2020』では世界に先駆け整形外科手術が推奨されている1).生物学的製剤やJAK阻害薬の登場に伴い,これらの周術期休薬について整形外科医は十分に理解したうえでの手術を行うことが望ましい.一方,JCRのガイドラインではJAK阻害薬の具体的な休薬日数についての記載はない.
海外においては2017年の米国リウマチ学会(ACR)/American Association for Hip and Knee Surgeon(AAHKS)のガイドラインによるとトファシチニブは術前7日の休薬が推奨されていたが,2022年9月の改訂によりJAK阻害薬は術前3日の休薬が推奨されている2,3).しかし,休薬期間変更の根拠となった具体的な文献は新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン投与の際に休薬を行った報告のみであり,周術期に実際に休薬がなされた報告は渉猟しえた範囲ではない4).われわれは従来のガイドラインに従って術前7日間の休薬を行ったRA患者を対象として活動性増悪の評価を行った.
© Nankodo Co., Ltd., 2023