Japanese
English
バイオ時代におけるリウマチ性疾患の診療 Ⅳ.手術的治療
2.下肢
新たな人工足関節置換術の使用経験
New total ankle arthroplasty
矢野 紘一郎
1
,
猪狩 勝則
1
,
岡崎 賢
1
K. Yano
1
,
K. Ikari
1
,
K. Okazaki
1
1東京女子医科大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Tokyo Women’s Medical University, Tokyo
キーワード:
total ankle arthroplasty
,
trabecular metal ankle
,
total talar prosthesis
Keyword:
total ankle arthroplasty
,
trabecular metal ankle
,
total talar prosthesis
pp.114-120
発行日 2023年10月25日
Published Date 2023/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei84_114
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は じ め に
足関節破壊に対する手術選択肢としては,人工足関節全置換術(TAA),関節固定術,骨切り術(関節温存術)などがある.変形性関節症に比して日常生活の活動性が低い関節リウマチ(RA)はTAAのよい適応であると考えられてきたが,長期成績を考慮して固定術が選択されることも少なくなかった.数年前まで本邦で主に使用されてきた人工足関節は1990年代に発売開始された第3世代TNK Ankle(京セラ社)[TNK]と2000年代初頭に発売開始されたFINE Total Ankle System(帝人ナカシマメディカル社)[FINE]の国産2機種のみであり,両方とも前方進入型で,TNKが2コンポーネント型でセメントレス固定(セメント固定にも対応可能),FINEは3コンポーネント型(モバイル型)でセメント固定という違いがある.この2機種の本邦での使用実績は変形性足関節症も含め210~240例/年ほどでしかなかったが,近年新たな機種が登場したことにより,TAAの症例数が急速に増加している.一つはオーダーメイドで作成する人工距骨とTNKの脛骨コンポーネントとの併用(京セラ社)[cTAA]であり,もう一つはTrabecular Metal Total Ankle(Zimmer Biommet社)[TMA]である.TMAは前述2機種と異なり,腓骨をいったん骨切りして外側から進入する外側進入型であり,2コンポーネント型で主にセメントレス固定(セメント固定にも対応可能)で使用する.
本稿では最新機種であるcTAAとTMAの適応,術前計画,手術手技,後療法について,症例を示しながら概説する.
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